災害から4ヶ月以上がたち、季節は代わり、広島県内の避難所は解消され、なんとなく日常に戻っている?と感じる方も多いかもしれません。
しかし、災害に遭われた方は災害前の元どおりに戻ることはないし、今も生活再建に向き合いながら日々悩んでおられる方も多いのです。
日常には程遠いのが現状ですが、問題や課題は時間とともに見えにくくなりますし、喉元過ぎれば・・・の言葉通り災害への備えの意識も弱まってきます。
そこで、今いちど今回の災害を経験して見えた災害時の食の安全に関する問題や、こどもの心の変化・ケアについてみなさんと一緒に考えてみたいと思います。
災害時の食の安全を考える・JDA-DATの取り組みから
災害発生直後は「食べるものがなかった」とその時を振り返る方が多いように、避難所に入れたとしても緊急事態で避難所運営もままならず食事どころではない、というのが現状です。
最近では「避難の際には自分の食べ物た飲み物、毛布などをもって避難してください」とアナウンスがあるように、避難所に行けば食べさせてもらるというよりも、まずは「自助」として自分のことは自分で!という気持ちが大切だという考え方が広まっています。
避難所ではしばらくすると、支援物資が届けられるうようになり、食事も配られることになります。しかし、主には「おにぎり・パン」であり、その後は「お弁当」が現在の一般的な避難所の食事事情です。
そうすると、持病の方や高齢者の方は「食べられない」という問題が発生することをご存知でしょうか?
今回の西日本豪雨でも食物アレルギーを持つお子さんの家族は避難所に行ってもおにぎりしか食べることができない、また誤食によるアナキフィラシーショックの恐れから避難所に行くことができず、自宅避難を余儀なくされたということがありました。
また、配られるお弁当やカップラーメン、パンなどを食べつつけて血糖値が上がり病院に入院した人、糖尿病のために食べるものがなく我慢されていた人など、様々な課題が浮き彫りになりました。
そのような「特殊栄養」を必要とする人は以外に多いのですが、まだまだ知られていません。
日本栄養士会では、災害対策チームの皆さんが災害発生時には「特殊栄養ステーション」を県と連携して設置してくださっていますが、今回の災害でも広島県内では十分に機能したとは言えない状態です。
その背景には「知られていない」という問題もあります。一般の方はもとより、特殊栄養を必要とする当事者も「我慢」してしまい声をあげることがなく「ニーズがない」という判断で機能できなかったこともあります。
そこで今回は、災害時の食の安全を考えるということで「まずは知っていただきたい」という思いから日本栄養士会の災害対策チームJDA-DATのキッチンカーをお呼びします。
キッチンカーには、災害時に野外でも調理できる設備が整っていますが。今回はアレルギー対応に特化した食事作りの実演と、作ったものを試食していただくことにしました。
アルファ化米を使った即席チキンライス風ごはん、米粉のパンなどを中心に、パッククッキングなどの実演もありますので、ぜひこれからの備えのためにも見学してみてください。
会場では、7月の災害でいち早く行動された三原アレルギーの会ひだまりさんのご協力で、アレルギー対応食の展示やお土産もご用意させていただきます。
こどもの心のケアを考える
表面上は日常に戻ったように見える頃から重要になってくるのは、心のケアです。特に感受性の強いこどもたちは、災害時のこと、災害後の環境の変化などから、様々なことを感じています。
今回西日本を襲った災害では、これまで経験したことの内容な雨が降り続いたことで、様々な被害が起こりました。災害直後から「雨が降るとこどもが怖がる」というお母さんからの報告もあります。長く続いた暑い時期の断水生活は、子育てをするお母さんたちにとっては想像以上に大変だったに違いなく、その大変さはこどもにも伝わりストレスの原因となりました。
そのような災害や環境の変化によるこどもへの影響は、大人が考える以上に深く、長期にわたります。東日本大震災以降は特に災害後のこども心のケアが大切であることが伝えられるようになりました。
今回講師としてお招きするNPO法人日本冒険遊び場づくり協会評議員の天野秀昭さんは、これまで阪神大震災以降の激甚災害発生後に、こどもの心のケアを目的とした被災地での遊び場作りにご尽力されています。
東日本大震災から7年経った今も「公開座談会&交流会 聞いてみよう、話してみよう、7年経った今のこと」と題した取り組みをされるなど、心のケアには長い年月が必要です。
今回はこれまでの豊富なご経験を元に、西日本豪雨災害で被害を受けたこどもたちの心の変化とケアについてお話を伺います。
同時開催:ふなき発見きち
当日は会場となっている船木地域支援センター(旧船木小学校)において、第4回のふなき発見きちを開催します。
ふなき発見きちは、20年以上前に世田谷プレーパークを見学した遊ぼう会ぷらす代表の赤川が「自分の住むまちにも冒険遊び場がほしい!」と近隣んの子育てママたちと一緒に始めた「発見きち(東京都江戸川区西葛西)」を元に、今回の災害後に現地ボランティアに入っている三原市本郷町船木地区において始めた、被災地での遊び場づくり活動です。
廃校になった旧船木小学校の中庭で、毎回べっこう飴づくりやロープブランコなど、地域の方を巻き込みながらゆるく活動を進めています。
今回はドラム缶で焼く「焼き芋食べ比べ!」を行う予定です。
日 時:2018年11月25日(日)
第1部 11時半〜13時半 災害時の食の安全を考える
第2部 14時〜15時半 災害後のこどもの心のケアを考える
会 場:船木地域支援センター (旧船木小学校)
広島県三原市本郷町船木1972
お申し込みは不要です。キッチンカーの実演を見学ご希望の方は早めにお越しください。
このイベントは公益財団法人ベネッセこども基金の助成を受けて開催します。